提燈に灯る町の誇りと未来への想い
2026年07月19日
皆さん、こんにちは。
久喜の夏を彩る伝統行事「久喜提燈祭り(天王様)」。
今年も多くの方々にご来場いただき、無事に祭りを終えることができました。
祭りが終わると、毎年のように安堵感と少しの寂しさが入り混じります。
山車を片付け、静かになった町を歩くと、数時間前まで響いていたお囃子や歓声が、まだ耳に残っているような気がします。
昼間に運行する豪華な人形山車。
毎年当たり前のように町を巡っていますが、その「当たり前」は決して当たり前ではありません。
人形の着付けや飾り付け、山車の点検、安全確認など、早朝から多くの方が集まり、一つひとつ確認を重ねながら準備を進めます。
長年祭りを支えてきたベテランと、それを真剣な眼差しで学ぶ若い世代。
その光景を見るたび、この祭りは人から人へ受け継がれているのだと実感します。
山車が動き出した瞬間、沿道から聞こえる拍手や笑顔を見ると、何とも言えない喜びが込み上げてきます。
人形山車の主役となるのは、私たちの町内が誇る「日本武尊(やまとたけるのみこと)」です。
山車の上に堂々と立つ日本武尊の姿は、町を見守る守護者のようでもあり、祭りに携わる私たちに「伝統を守り続けよう」という気持ちを改めて思い起こさせてくれます。
人形の着付けや飾り付けは細部まで丁寧に行われ、その凛々しい姿が完成した瞬間には、自然と身が引き締まる思いになります。
毎年同じように見える山車ですが、その一つひとつには、先人たちが受け継いできた願いと誇りが込められているのです。
日が暮れると、人形山車は提燈山車へ姿を変えます。
数百個もの提燈に一つひとつ灯りをともしていく作業は、とても繊細で時間のかかる仕事です。
灯りが消えていないか、傾いていないか、風の影響はないか。
決して派手な作業ではありませんが、この地道な積み重ねが、あの幻想的な夜の景色をつくり上げています。
提燈が一斉に灯る瞬間は、何度見ても息をのむほどの美しさがあります。
今年は、祭りを支える「提燈」の大切さを改めて考えさせられる一年でもありました。
近年の中東情勢の緊迫化などを背景に、原材料費や物流コストが世界的に上昇し、その影響は祭りで使用する提燈にも及んでいます。
これまで当たり前のように準備できていた提燈も、価格が大きく上昇し、一つひとつの重みをこれまで以上に感じるようになりました。
提燈は、職人の確かな技術によって作られ、多くの方々の支えがあって初めて祭りの灯りとなります。
だからこそ、今年は一本一本をより丁寧に扱い、その灯りを見つめながら「この景色を未来へ残したい」という想いを強くしました。
世界で起きている出来事は、決して遠い国だけの話ではありません。
地域の伝統文化にも少しずつ影響を与えている今だからこそ、この祭りを次の世代へ受け継ぐ責任を改めて感じています。
今年、改めて感じたのは、この祭りは一人では成り立たないということです。
長年祭りを支えてきたベテランが経験を伝え、その背中を見ながら若い世代が技術や心構えを学んでいく。
提燈を取り付ける作業や山車の準備、お囃子の音合わせなど、どの場面にも自然と会話が生まれ、「こうするといいよ」「ありがとう」という言葉が飛び交っていました。
祭りは、ただ山車を曳くだけの行事ではありません。
人と人がつながり、世代を超えて知恵や想いを受け継いでいく場でもあります。
長く続く伝統の裏には、この何気ない積み重ねがあるからこそ、久喜提燈祭りは今も多くの人に愛され続けているのだと、今年は特に強く感じました。
